創作脚本

博士のSECOM事情

平成25年度 仙台商業高等学校演劇部単独公演
「博士のSECOM事情」
作:仙台商業演劇部

CAST

SECOM
研究員&妹
博士
ブシドー
軍人
ピザ屋
黒子1
黒子2

楽しげな音楽。ほどなくして、開演のナレーション。
音楽がボリュームアップして、カットアウト。ドアチャイムの音。溶暗。
舞台上には机、椅子が1セットあり、派手にセコムボタンのついたパネルが立ってる。
机の脇に、白衣を着て倒れている研究員。

ピザ屋 「ピンポ~ン、ピザキャップです」
博士 「ん?ピザなんて頼んだかな…」
ピザ屋  (ピザを突きつけつつ)「お会計は1,890円になります」
博士 「お釣りはいいですよ」
ピザ屋 「あれ?後ろに人が倒れていませんか?」
博士 「あ、寝てるだけです」
ピザ屋 「そうですか?ちょっと様子が変ですよね?」

ピザ屋ズケズケと上がり込む。

ピザ屋 「え!この人、もしかして死んでる!?」
博士 「い、いやいやいや!こ、これは死んでるわけではなくて…そう!ごっこ遊び!死体ごっこしてるだけで!!」
ピザ屋 「いやいや、どう見ても死んでますよこれ!!血とか出てるじゃないですか!!」
博士 「ちっ!目ざとい!」
ピザ屋 「やっばーい…これ…え、ガチの死体ですか?!わーすっごい!!初めて見た!あの、触って見てもいいですか?いいですよね!ねぇねぇねぇ!!」
博士 「っだあああああ!!うっさい!黙れ!!お前ら捕まえろー!!」

みんなストップモーション

博士 「どうもみなさんこんにちは。いきなり騒がしくて申し訳ない。私は世界征服を企てている博士です。今はうっかり、世界征服への第1歩をピザを宅配に来たピザ屋に見られちゃったところ。なんでこんなことになったのかは、見てればそのうちわかるだろうから、今は話しません」

ストップモーション終わり。ブシドー、軍人が出てくる

二人 「はっ!」
ピザ屋 「キャー!やーめーてーーー!」

逃げ惑うピザ屋、ふと帽子を落とす。

軍人 「あ、帽子落としましたよ」

軍人、帽子を渡す。ピザ屋帽子を受け取る。

ピザ屋 「くるりんぱ」
博士 「上島竜平かよ!お前らも待ってやんなくていいから早く捕まえろ!」

ピザ屋二人に捕まり、縄で縛られる。

ピザ屋 「ああっ。あんまりきつく縛らないでね」
博士 「これで少しは静かになるな。あ、ちなみにこの二人は…」
軍人 「この姿を見た奴らは、俺をミリタリーオタクだのと言うが、断じて違う!俺は軍人だ。おいピザ屋、機関銃とマシンガンの違いが分かるか?」
ピザ屋 「機関銃は、ダンダンダンダンダンで、マシンガンは、ダダダダダでしょ?」
軍人 「ちが~う!いいか、マシンガンとは、ライフル弾を継続的に連射する事に特化した銃であり、対人戦闘から対航空機戦闘にまで使用できるものだ。」
ピザ屋 「ふ~ん」
軍人 「ちなみに、マシンガンの給弾方法にはマガジンの他に弾がベルト状に横に連なっているベルトリンク方式というのもある。ランボーという映画にこのベルトリンク方式のマシンガンをぶっ放しているシーンが多々あるから、知ってるならそれを思い出せ。そして機関銃というのは、マシンガンなどの連射するための機関を備えた銃を総合して機関銃と呼ぶのだ」
博士 「つまり、マシンガンは機関銃の十分条件で、機関銃はマシンガンの必要条件ってこと」
ピザ屋 「…?」
軍人 「博士、簡単な説明ありがとうございます」
博士 「そして、私のもう一人の片腕」
ブシドー 「1567年、ワシが尊敬してやまない英雄が生まれた。18歳で家督を継ぎ、人取橋の戦い、摺上原の戦いを勝利でおさめ、人々はその英雄を独眼竜と呼んだ。その武将こそ伊達正宗公!ワシもこのお方のようになりたいと憧れ、稽古を続けて早4年。自分に厳しくする事はこんなにも辛い事かと何度も諦めそうになったが、政宗様のように伊達者と言われる英雄になるため、日々精進してまいる所存。我が名はブシドー。いかなる戦場においても最後まで生き残って見せる!」
博士 「いよっ!ブシドーいいぞ!」
ブシドー 「ワシの魂、政宗様とともにあり!」
博士 「とまあ、こんな感じの奴らだ」
ピザ屋 「おぉー。すごぉーい」
博士 「ふぅ。二人の紹介も終わったことだし、(黒子座布団用意、ブシドー2枚、軍人1枚)
ピザでも食べながら世界征服する計画でも立てるか。じゃあまず、大喜利風に!お題は地味な嫌がらせだ!」
軍人 「ハイハイハイハイ!!!」
博士 「じゃあ、軍人君」
軍人 「借りたシャープペンについてる消しゴムを使います!」
博士 「いいねぇ~。地味に嫌だねぇ~」
ブシドー 「ハイ。冬に自販機のあったか~いを買い占めて冷た~いだけにするとかはどうだろうか」
博士 「冬なのにあったか~い飲めないの?辛いねぇ。いいよいいよ」
ピザ屋 「あっハイ!私も!スーパーの割引のシールを全部はがす!」
博士 「お前には聞いてない。そして、割引シールははがしても意味がない。却下」
軍人 「ハイ!買い物するときめっちゃ細かく小銭出す」
博士 「それすごいイライラするわぁ~」
ピザ屋 「勝手に財布の中身を全部1円玉にしちゃう!」
博士 「却下」
ブシドー 「ハイ。正面から歩いてくる人の邪魔をする」
みんな 「ディーフェンス!ディーフェンス!」

突然、死体だったはずの研究員が起き上がる。

研究員 「あんたらいつまでやっとんねん!横に死体転がっとんのになに遊んでんねん!」

みんなぽかーん。博士、ブシドー、軍人驚きで動けない。

研究員 「おっといけない。つい関西弁が…」
ピザ屋 「なーんだ。生きてたのか」
研究員 「魂が叫んでるだけ。本当は死んでるの。とにかく!私がなぜ死んだのか少しは興味を持ちなさい!」
ピザ屋 「はっ!そこに血のついたナイフが落ちている。これは…殺人事件では!」
軍人 「犯人は俺たちじゃないよ」
ブシドー 「じゃないよ」
ピザ屋 「じゃ、誰が犯人なんです?」
博士 「それは…私にも分かりません」
ピザ屋 「だって、ここはあなたの研究室じゃないんですか?」
研究員 「しょうがないですね。私が死んだいきさつを教えてあげます。…私はこうして殺されたのです」

暗転。軍人、ブシドーはける。

博士 「やった!やったぞ!遂にこの時が来た!完成したんだ!!」
研究員 「やりましたね!!人工神経制御装置。遂に完成ですね!」
博士 「これで長年の夢をかなえることができる!」
研究員 「しかし、その前に性能を確かめませんと…」
博士 「そうだな。それなら実験台が必要になるな」
研究員 「でしたら、私が実験台に!」
博士 「そうか。なら受信装置を付けてくれ」

博士、カチューシャを研究員に手渡す。博士は送信装置をつける。

研究員 「はい!……これでどうですか?」
博士 「うん、それで良い。では、テストするぞ。スイッチオン」

研究員、博士と同じ方向を向いて、同じ動きをする

博士 「くいっと」
研究員 「おお!私の意志と無関係に体が動く!」
博士 「ほいほい」
研究員 「おお~~すごい!」
研究員 「性能は十分みたいですね」
博士 「うん、運動神経のみの制御がしっかり出来ている」
研究員 「おお、確かに。首から上は私の意志で動かせます。これが出来れば、リハビリに大きな革命をもたらす事間違いないですね!」
博士 「うん。ちょっと負荷をかけて見るぞ」

博士、変な動きや、高速移動をしてみる。研究員、忠実に追従。

博士 「はっ、はっ、はっ!」
研究員 「あうあうあう!」
博士 「ふう」
研究員 「けっこう疲れますね。ダイエットにいいかも」

博士、椅子に座ろうとする。

研究員 「あ~!ちょっと!!」
博士 「ん?」

博士、座る。研究員椅子が無いので後ろに転がる。

研究員 「うあっ!博士、痛いじゃないですか」
博士 「ああ!すまんすまん。どうすれば起き上がれるんだ?私も転がればいいのか?」

博士転がる、研究員転がる、博士起き上がる。研究員起き上がる。

研究員 「使い方を注意しないと、大変ですね」
博士 「うん、確かに」
研究員 「とりあえず実験はこの辺にしましょう」
博士 「じゃ、受信装置外して」
研究員 「…自分の意志では無理です」
博士 「ああ、そうか。じゃ、私が外してやろう…」

博士が研究員に近づくと、研究員は博士から遠ざかるわけで…。

研究員 「あの~…」
博士 「そうか、外してやる事も出来ないのか。意外と不便だな。でも、こういう使い方が出来る」
研究員 「え?」

博士、袖幕に入っていく。袖幕の中で恥ずかしいポーズを取る。が、観客から見えるのは研究員だけ!

研究員 「な、何てことさせるんですか!!」

博士出て来る。

博士 「むほほほほ。やはり期待通りの性能だ」
研究員 「いやいやいや」
博士 「研究室の中だ、誰も見てないから、別に問題ないだろう」
研究員 「そりゃそうですけど…」
博士 「冗談はこのくらいにして…。スイッチオフ」

研究員床に崩れる。

研究員 「あれ、体が動かない」
博士 「神経接続が回復するのに、少し時間がかかるはずだからそれはさほど問題ない」
研究員 「ああ、そうだった。しばらく動けないんだった」

博士の携帯が鳴る。

博士 「はい、未来研究所の博士ですが。…あ、はい、たった今完成しまして…。はい、そうですね、うちの研究員で実験してみたのですが、シンクロ率はかなり高いですね。ええ、…200億!」

博士、隅の方に行き、小声になる。

博士 「わ、わかりました。例の口座に振り込んで頂ければ、装置はあなたのものですよ。ふぉっふぉっふぉ。コホン。では、またよろしくお願いいたします」
研究員 「何が200億なんですか?」

研究員からだが動くようになったので、机の上の書類に目を通す。

博士 「や、やった~!200億だよ200億!人工神経制御装置。人が人を支配するのにこれほど確実なものは無い。しかも金まで入ってくるとは」
研究員 「博士、これは神経に損傷を受けた人のリハビリ用の装置ですよね!?」
博士 「ああ、もちろんその目的で開発を進めたよ。しかし、今この技術を…」
研究員 「こ、これは…!!今各国で問題を引き起こしているナイカイダの内部資料じゃないですか!」
博士 「お、しまった、そんな所に置き忘れていたのか」
研究員 「もしや、この技術をナイカイダに売り渡すつもりじゃないですよね」
博士 「…気づかれてしまったか」

博士、研究員から書類を奪い取る。

研究員 「博士っ!なんでこんな…」
博士 「仕方がない、せっかくだから私の話をしてやろう。あれはまだこの装置をリハビリ用に作っていた時のこと。私はふと気づいてしまったのだ。私はこんなに魅力的で、頭がよくて、心もきれいだというのに生まれてこのかた一度も求愛されたことがない!なぜ私が持てなくてあのちんちくりんの研究員がもてるのだ。腑に落ちん。前に一度マッドサイエンティストはもてると聞いた…。もしやザ、ベストオブマッドサイエンティストの称号を得られればもてるのでは?そのために、今開発しているこの装置を利用しナイカイダをのっとり、科学の力で世界征服をしてやるー!!これで私はもて街道まっしぐらだ、わーっははっはっはーっ」
研究員 「そんなっ!!いくら博士でも二人で作ったこの装置をそんなことのために使うなんて許せません!博士、だいたいマッドサイエンティストってなんだかわかってるんですか!?」
博士 「そんなことは関係ない!もてるかもてないかが重要なんだ!!」
研究員 「もてるわけないでしょう・・・そんなんで求愛してくるのなんて鳥ぐらいですよ!」
博士 「うるさいっ!!もてるお前に私の気持ちがわかるか。くそっ、こうなったら…スイッチオン」
研究員 「ああ、しまった!装置を外しておけばよかった」

博士が何かをつかむ動きをする。研究員が博士の机の上のナイフをつかむ。

博士 「そのナイフはお前の持ち物だよな。私は触れた覚えが無いので、私の指紋は一切ついていない」
研究員 「博士、何をする気ですか!」
博士 「そのナイフが凶器となって、殺人が起きても、私は第一発見者というだけで、容疑はかからない。何せ、この装置はまだ世に出ていない。単に自殺という位置づけだ」
研究員 「くそ、何とか出来ないのか!」
博士 「君がいなければ、この装置は完成しなかった。その点においては、君に礼を言っておくよ。そして私は第一発見者としてこう言うだろう。きっと研究に行き詰ってしまい、自分の無能さに腹が立ってこの世に嫌気がさしてしまったんでしょうね。と」
研究員 「博士、あなたは間違っている。しかし、仮に私がこの世を去っても、私が極秘に開発したもう一つの装置が…」
博士 「もうひとつの装置?それは何だ」
研究員 「それは、言えません!」
博士 「ふん、まあいいだろう、では、これで終わりだ!そしてジ、エンドだ!!」

博士手を振りおろす

研究員 「う、うわああああ!!」

暗転

ピザ屋 「そ、そんなシリアスなことが起こっていただなんて…」
研究員 「どんな状況かわかってもらえたようで嬉しいよ。では、私はこれで」
ピザ屋 「あ、ちょっと待って、極秘に開発した装置って何だったんですか?」
研究員 「私はもう死んでいるのよ。今は喋れないの」
ピザ屋 「意地悪!」
研究員 「仕方ないでしょ、ルールなんだから」
ピザ屋 「ルールねえ…。私が言うのもなんだけど、あんなアホそうな博士がそんな惨いことやっていたなんて…。はっ!もしかして私もこんなところにいつまでもいたら殺されっちゃったり、したりしちゃうかも!?」

死んでいた研究員が再び起き上がる。

ピザ屋 「お?」
研究員 「あ、今死に中だからね」
博士 「ああ、気にしないで。お客さんも、今だけは気にしないで下さい」

研究員裏へ行き、かかしを持って出てくる。
自分が倒れていたところへ置く。再び裏へ。

ピザ屋 「?」

博士、軍人に合図を送る。軍人袖から武器を持って入ってくる。
ピザ屋の背後へまわり武器を構える。

ピザ屋 「うーん。でも、逃げるにしてもこの縄ほどけないし。だいたい、死体が言ってることなんて信用ならないよね。でも殺されちゃうのは困るなぁ~。う~ん」

妹が走って入ってくる。

妹 「お姉ちゃん!!!」

軍人は、あわてて武器を隠す。
ピザ屋 「お姉ちゃん!?」
妹 「お姉ちゃんしっかりして!」
博士 「君は…この研究員の妹さんかね?」
妹 「そうよ」
博士 「残念だけど、君のお姉さんは自殺してしまったようだ」
妹 「あなたが博士ね。お姉ちゃんが最近博士の様子がおかしいと言っていたわ。本当に自殺なの?」
博士 「ああ。なんで、こんな事になってしまったんだ…。私の片腕としていずれは世界に羽ばたいてくれると信じていたのに…」
妹 「お姉ちゃん…。息してない…。脈もない…」
博士 「優秀な研究員でした。本当に惜しい人を亡くしました」
妹 「お姉ちゃん…なんで私を残して逝っちゃったの…一緒にディズニー行こうって、約束してたじゃない…」
ピザ屋 「妹さん。お姉ちゃんは自殺じゃないかもよ…」
博士 「うるさい!…ブシドー!」
ブシドー 「はっ!」

ブシドー、ピザ屋の口を塞ぐ。

ピザ屋 「う○△□*+-\\\\って+△=><」
博士 「私も第一発見者だから、詳しくは分からないんだが、どうやら自分で心臓をぐさっとやったらしい。そこに転がっているナイフは彼女の愛用のナイフだった。何なら、指紋を取ってもらってもいい。」
妹 「嘘だ!お姉ちゃんは、自殺するはずないもん。もうすぐリハビリ界に革命をもたらす装置が完成するって、毎日ウキウキしていたんだよ!」
博士 「あ、そうだ。お姉さんの頭についている装置だが、彼女と私の最高傑作だ。良ければ形見としてプレゼントしようと思うのだが、どうだ?」
妹 「この変なカチューシャみたいなやつですか?」

妹、装置を頭につけようとする

ピザ屋 「駄目だ!それをつ○△※+-><」
博士 「うるさいっ!ちゃんと押さえろお前ら!!」
妹 「…ピザキャップで時給700円でアルバイトしているお姉さん、何か知ってるのね?」

ピザ屋うなずく。

妹 「この人たち悪い人たちなの?」

ピザ屋うなずく。

妹 「今の時給で満足ですか?」

ピザ屋うなずくが、すぐさま首を横に振る。

博士 「あ~あ、ピザ屋に続いて、妹にまで現場を見られるとは…。不覚だった。まあいい、姉妹そろって心中というのも悪くない。お前ら、装置を妹につけろ!」

軍人 「イエッサー」
ブシドー 「承知」
軍人 「ちょっとごめんよ。手荒な事はしたくないんでね」
妹 「やっぱり、あなた達が犯人なのね!」

軍人が妹をはがいじめにし、ブシドーが受信装置を頭につける。

ブシドー 「装着しました」
妹 「何する気!」
ピザ屋 「ああ、何て事を…。」
博士 「まぁ、面白いから見てな。ではスイッチ…。」

妹なんとか振り払いセコムボタンを押す。
サイレンの音が鳴り響く。

博士 「うわ~警報が鳴っちゃったよ。」
軍人 「博士どうします?」
博士 「誤報だ、研究室ではよくある事だ。ブシドー、セコムに連絡しろ。」

博士、携帯電話をブシドーに投げる。

ブシドー 「はは。仰せのままに」

ブシドー、携帯電話でどこかに連絡。
軍人は、警報解除装置を探す。
隙を見て、妹、装置を外し、投げ捨てる。博士、装置を拾う。

博士 「これは精密機械だ。そんな雑に扱ってもらちゃ困るんだがな」
ブシドー 「あー、もしもし、私未来研究所のみんなの侍ブシドーと申しますが…。はい。…たった今当研究所の警報装置を誤作動させてしまいまして…」
博士 「万が一壊れたら弁償してもらうよ。この装置高いよ~払えない時は体で払ってもらうからね」

軍人セコムボタンを押す。警報止まる。

軍人 「なんだ、もう一回押せばいいだけか」
ブシドー 「だから、未来研究所です…。え?契約していない!?博士、セコムとうちって契約していないんですか?」

そこへ勢いよくSECOMがはいってくる。

SECOM 「呼ばれて飛び出てなんとやら!みなさんSECOMしてますか!?」
妹 「はや!」
博士 「いや、してねーよ!?」
ブシドー 「あ、もう来ちゃったんで、いいですわ」

ブシドー電話を切って博士に返す。

博士 「今のは、誤報だ。わざわざ来てもらって来てもらったところ悪いんだが、帰っていいよ」
SECOM 「ああ、そうなんですが、久々の出動でワクワクしながら来た所だったんですが…」
妹 「違うのよ!SECOM、呼んだのは私!私のお姉ちゃんが殺されちゃったのよ!」
SECOM 「何だと!そこに倒れているのは…」

SECOM遺体検分をする。

SECOM 「被害者はここの研究員、死因は腹部からの大量出血によるもの凶器はそのナイフか。だいたいこういう事件の場合は一番犯人らしくない人が犯人と想定される。犯人はお前だ」
ピザ屋 「えっ、え~っ」
妹 「ちがうの、こいつらがお姉ちゃんを殺した犯人なの!お願い!仇をとって!!」
ピザ屋 「あ、この人たち地味な嫌がらせで世界征服なんかもする予定らしいですよー。」
SECOM 「なんだって?!」

博士、ブシドー、軍人は上手へ。SECOM、妹は下手へ。
ピザ屋は下手に行こうとするが、ブシドーと軍人に上手に連れて行かれる。

SECOM 「世界征服を企み、この子のお姉さんを殺し、おまけに人質までとるなんて!なんて卑劣な!!」
ピザ屋 「え、人質ってどこにいるんですか?」
博士 「お前だよ。気づいてなかったのか…。」
ピザ屋 「え、ええ~!」
SECOM 「とにかく!正義の名にかけてこいつらを放っておくわけにはいかない!」

SECOM 変身ポーズをとる。

SECOM 「いくぞ!へーんーしん!」

キュアセコムちゃんになるためのお着替えターイム。(黒子たちによる)
黒子1がバスケットボールを持って出てくる。それをSECOMにパスする。
SECOM受け取る。黒子2がさらにSECOMからのパスを待っている。パスするSECOM。

SECOM 「って違うだろ!黒子のバスケじゃなくて変身!!」

黒子、あぁ!という感じでうなずく。

黒子1が上手からカエル君を持って現れる。黒子2が下手からウシ君を持って現れる。
SECOMの両サイドに付く。

SECOM 「パペットマペット!ってなんでだぁ!なに言わせてんだよ!それにうしとかえるでもないじゃないか!」

拍手する黒子達。

SECOM 「拍手してんなよ!腹立つな!ぼけ倒してないで早いとこ変身させろよ!」

満足したのかちゃんと変身させる黒子。変身ベルトを着け、スカーフを首に巻く。

SECOM 「ん!!」

決めポーズ(ライダーポーズ)をとったまま

キュアセコム 「鳴り響く警報装置のサイレン…キュアセコム!!参上!!」

一瞬シンとする舞台

博士 「なっ!?キュ、キュアセコムだと!?なんてわかりやすいパクリだ…」
キュアセコム 「あ、あんたね!私のどこがなんのパクリなの!?」
博士 「名前が日曜朝8時半テレビ朝日系列のあのアニメからパクってるようにしか思えませーん」
キュアセコム 「うっうるさーい!それは言っちゃいけないお約束でしょうが!!」
博士 「そんなこといわれてもー。気になったことはすぐ口に出しちゃうタイプなんだよねー」
キュアセコム 「あっ、お姉さんそういうのいけないと思うなー。もっと大人にならなきゃダメでしょ~?」
博士 「なに!私が子供だとでも言いたいのかっ!!」
キュアセコム 「だいたい、プリキュアの放送時間きっちり覚えてるあたり怪しいよねぇ~?」
ピザ屋 「俗に言う大きな子供ってやつですよね。」
博士 「うるさい!私は子供なんかじゃない!!適当なこと言うのも大概にしろよっ!?」

博士、足をドン!みんながそれに合わせて飛び上がる。

妹 「セコムさん、茶番もこれくらいにして本題に入ってください」
キュアセコム 「おっと、そうだった。私はあんたを許さない!」
博士 「お前なんかに私の長年の夢を潰されてたまるか!」

博士少し下がり、ブシドー、軍人が前へ出てくる。

博士 「お前らの力を見せる時だ!ゆけっ!ブシドー、軍人!」
軍人 「イエッサ~」
ブシドー 「いざ、参る!」
軍人 「あんたに恨みはないがここで死んでもらう!!」
ブシドー 「呪うならこんな所に来た貴様自身を呪うことだな」

(ストリートファイターズ的な音楽が流れ始める)

キュアセコム 「いざ、勝負!!」

殺陣開始―(攻撃手順は稽古の際に決めます)
キュアセコム、ブシドー、軍人、ブシドーの順に攻撃

キュアセコム 「くらえ!」

攻撃をかわす二人

軍人 「なに?その程度の威力なわけ?」
ブシドー 「次はこっちの番だ!!」

二人の攻撃。ちょっと怯むキュアセコム

博士 「いいぞー!!お前ら!!さすが私の部下だ!!」
ピザ屋 「いいぞ!いいぞ!!」
キュアセコム 「くっ!!まだよ!!」
妹 「キュアセコム!がんばって!!」
ピザ屋 「がんばれがんばれー!」

キュアセコムの攻撃。二人避ける。ブシドーの攻撃。

ブシドー 「くらえ!!HELL DRAGON!!!!」
博士 「きゃー!ブシドーかっこいい!!伊達政宗公みたーい!!」
ピザ屋 「迫力ある~」

ブシドー、博士に向き直り決めポーズ、の後に照れ笑い。(キュアセコム、技をくらって倒れている。)

妹 「キュアセコムはこんなんじゃやられないわよ!!」
ピザ屋 「そうだそうだー!」
妹 「あんたはどっち味方なの(よ)!!」
博士 「お前はどっちの味方なんだ」
キュアセコム 「はーっ!」

キュアセコムの攻撃。二人もろに技を食らう。しばらく動けない様子。

博士 「お前ら!こんなところで負けるんじゃない!!」
軍人 「くっ。わかっています」
博士 「あー、(ごほん)ここで頑張れば(ごほん)ボーナスとか(ごほごほ)あげたっていいんだけどなぁ。(げほごほ)」
二人 「ボーナス…?」

苦しんでいたのが突然止まる二人。目を合わせ、攻撃を受けたのがウソだったかのように元気になる。

軍人 「うおっしゃぁぁぁぁ!!かかってこいやキュアセコムさんよぉ!!」
ブシドー 「我々がこれくらいでやられるなんて思わないでもらいたいね」
キュアセコム 「金の亡者かこいつら…」
軍人 「そっちが来ないならこっちから行かせてもらうぜぇぇぇぇ!!」

キュアセコムにかかっていく軍人、キュアセコムにあたる。キュアセコムの攻撃軍人にあたる。

キュアセコム 「金のために戦ってる奴なんかに、正義の味方が負けるか!鳴り響け!サイレンアタック!」

キュアセコムの攻撃。キュアセコムの技が二人に決まる。

軍人 「ぐはっ!!」
ブシドー 「軍人!?」

軍人がブシドーをかばい負傷。(たいしたことない)

博士 「ブシドーを体を張って守るなんて!軍人はなんて心やさしい子なんだ!!」
妹 「悪の手下がいい子なわけないでしょ!!うちのキュアセコムなんかね…道端で困ってるおばあちゃんの荷物を持ってあげるんだから!!」
博士 「うちの子たちなんてね!!悪の手下やってるけど私の誕生日にはサプライズでお祝いしてくれたり!!」
妹 「そんなこと言ったら、うちのキュアセコムなんて、何でもない日だって記念日なんだよって言って突然プレゼントくれたり…!!」
博士 「そんなこと言ったら…」
二人&キュアセコム「誰がいつそんなことしたんじゃあ!!」
ピザ屋 「あれ?嘘だったんですか?」
キュアセコム 「信じるなよ!!大体初対面だ!!」
博士 「そんな事はどうでもいい、行けブシドー」
ブシドー 「世の中で一番大切なもの、それは何だ?」
キュアセコム 「安全・安心だ!」
ブシドー 「違う!金だ。金があれば全て解決する世の中だってことにまだ気づけないのか。」
キュアセコム 「さびしい奴だ」
ブシドー 「さぁ、本気で参るぞ」

ブシドーのなりふり構わぬ攻撃で、キュアセコムひるむ。

キュアセコム 「くそ、こうなったらもう一度いくぞ、鳴り響け!サイレンアタック!」
ブシドー 「ふっ、一度くらった技は二度と食らわない。それがブシドーの神髄だ」
キュアセコム 「なんだと…」

ブシドー、キュアセコムを追い詰める。

軍人 「おっと、こっちに来たら、風穴が空くぜい」

軍人復活し、いつの間にかキュアセコムの背後を取っている。

ブシドー 「もう、おしまいかい」
博士 「お前ら、よくやった。ボーナスアップを約束しよう」
二人 「ありがとうございます!!」
キュアセコム 「くそ、もう私に出来る事は無いのか…」

その時、妹の首にかけてあったペンダントが光り、SEが流れる。

妹 「え!?」

鳴り響くゴージャスなサイレン

キュアセコム 「それは!?」
妹 「これは…お姉ちゃんが私の誕生日にプレゼントしてくれたペンダント。お守りだよって、言ってくれたペンダント」
キュアセコム 「それは、セコムの能力を大幅に高める、見守り装置のニューバージョンかもしれない。わが社では開発が出来ずに、キュアアルソックに遅れを取っていたのだが、それがあれば、あるいは…。あー、ちょっと貸してもらえますか?」
妹 「いいわよ」

妹、キュアセコムにペンダントを投げる。キュアセコム、首にかける。
(音楽)

キュアセコム 「うおー!キュアセコム、ファイナルアタックモード!!」

黒子達、出てきて、黒いジャケットを着せ、ヘルメットを被せる。

キュアセコム 「最終進化した私を止める事は何人たりとも出来ないわよ」
博士 「ふん、見た目が変わっただけじゃないか。行け、ブシドー」

ブシドー、キュアセコムに切りかかる。ある距離からスローモーション。
キュアセコムブシドーの攻撃を見切って技を返す。

ブシドー 「は、博士、駄目です」

軍人が最後の手段として禁断の飛び道具を使う、スローモーション。キュアセコム弾丸の軌跡を見切り、華麗にかわす。

軍人 「どうなっているんだ?」
キュアセコム 「だから、漆黒の鎧をまとった今、もうあなたたちに勝ち目はないのよ」

キュアセコムの圧倒的な攻撃!

キュアセコム 「ナイトメアセキュリティブレード!はぁ!!」

セコムが腕を横に振る。見えない衝撃波が二人を襲う。ブシドー、軍人、派手に吹っ飛ぶ。

二人 「うげ~」「あう~」
博士 「あぁーーー!!私のかわいい部下たちがぁぁぁ!!」
キュアセコム 「私の探し求めていたものが、ここにあったなんて…」
妹 「さすがキュアセコムさん!!強い!!」

キュアセコム博士のほうへ向きなおる

キュアセコム 「さぁ!いい加減に観念しなさい!!お前の負けは既に決まっている!!」
博士 「仕方ないここは…ピザ屋!!お前が行け!!」
ピザ屋 「えぇー。いやですよ~」
博士 「なら仕方ない。ここは私が」
黒子1 「いやいや私が!」
黒子2 「自分に行かせて下さい!」
ブシドー 「いやいやワシが参る!」
軍人 「だったら自分が!!」
ピザ屋 「えっ…じゃあ私が…」
みんな 「どうぞどうぞ」
ピザ屋 「えっ…ええーーーーー!!!」

博士、ピザ屋の後ろに回り込みカチューシャを装着し、縄をほどく。

博士 「行くぞピザ屋!!」
ピザ屋 「どう考えても、無理でしょ…」
博士 「スイッチオン」

ピザ屋と博士の動きがリンクする。ピザ屋の攻撃。

博士 「どうだ~。これが私の開発した人工神経制御装置。人の運動神経を思いのままに制御出来るんだ。参ったか~、はっはっはっはっは」
キュアセコム 「何という、極悪な装置」
博士 「私はこれを使って世界を征服するんだ。こんなところで、つぶされてたまるか!くらえ!」
ピザ屋 「うわあああ!!」

キュアセコム、攻撃をかわす

キュアセコム 「な、なんだそのひょろひょろパンチは、あてる気ないだろう!!そんなの目をつぶってでも避けられる!」
博士 「チッ!ピザ屋お前どれだけ運動神経ないんだ!この装置はある程度動かされる側の運動能力も反映されるようにはなっているが、ここまで遅いとは!?」
ピザ屋 「そんなこと言われたってぇ~!ちなみに徒競走は毎年ダントツびりでしたぁ~」
キュアセコム 「だろうな…」
博士 「くそっ!しっかり動けピザ屋!」
ピザ屋 「これで目いっぱいですよぉ」
キュアセコム 「はぁ」

キュアセコムピザ屋を押す。

博士 「やめろ!!!」
ピザ屋 「あ~れ~~~!!」
キュアセコム 「あんたはその辺でピザ食ってな!」

ピザ屋、かかしの横に放り投げられる。博士カチューシャを外す。

キュアセコム 「人工神経制御装置か、使い方を間違っては何の役にも立たないわね」

博士 「ちっくしょう!!こうなったら…逃げるが勝ちだぁ!!ワッホイ!!」
妹 「そうは行かないわよ!!」

妹、博士の前に立ちはだかる。博士、方向転換するがそこにはキュアセコムが待ち構えている。

キュアセコム 「観念しろ!!」
妹 「この装置は、正しく使ってこそ、きっとその価値が光るのよ。私がお姉ちゃんの代わりに、これを正しく使うわ!」
博士 「ああ~私の計画が…」
妹 「じゃあ、キュアセコムさん、博士をしっかり押さえてて」
キュアセコム 「うん。いいけど…」

キュアセコム博士を押さえる。妹、博士に受信装置をつける。

博士 「え、ええ」
妹 「だーって、私も性能テストしてみたいじゃん」
博士 「ちょ、ま」
妹 「スイッチオン♪」

妹、博士を操る。

妹 「わ~楽しい~」
ブシドー 「博士、楽しそうですね」
軍人 「あははは」
博士 「楽しいかボケ」
妹 「じゃ、行くわよ~」

妹袖幕に隠れる。博士センターに立って、ダンス。

博士 「やめろ~!!」

音楽であおる。博士、下手に行き、上手に妹登場。
音楽に合わせて、踊りだすピザ屋とセコム。
ブシドーと軍人、カカシを抱えて、一緒に踊る。

カーテンコール

―― END ――

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